なんなんですかねえ…。非常に気がかりですよ、ここのところのJR宮島航路は。

中国新聞によると、「新・みやじま丸」が2月26日の試験運行中に事故が発生。今回は、このニュースについて考えて見たいと思います。
事故の概要
中国新聞2/27付け記事によると以下の通り。

・事故発生は26日13時15分ごろ。
・事故を起こしたフェリーは3/15に運行を開始する予定だった「みやじま丸」(「電気推進船」として導入された新型船)
・試験運航時、宮島口桟橋に接岸する際に、護岸の一部に接触し、この弾みで右舷スクリューが故障。制御不能となり、北東に流され、宮島松大観光船の桟橋に衝突。その際に宮島松大船の柱などが破損した。
・けが人や油もれなどはなかった。
(中国新聞記事にはこのほか、松大船の関係者が証言したコメントなどが紹介されています)

この事故が「重大」なわけ
JR宮島航路はこの4年間で4件の事故を起こしています。このような状況は「異常である」との指摘があるのもまた事実です。
過去には2003年7月、2004年6月、2005年10月と営業中のフェリーが桟橋への衝突や座礁が発生しています。
今回は「非営業運航」であるものの、昨年10月の事故の後に「再発防止に努める」旨をJR広島支社長が述べており、その「再発防止宣言」からわずか数ヶ月しかたっていないうちに再び事故が発生した、というのは重大です。

また、最初の事故が「桟橋着岸時に、護岸の捨石に乗り上げたこと」が原因で、中国新聞によると「きわめて未熟」と指摘しています。また、操縦不能になった際に松大観光船側に流れて行き、松大の桟橋に衝突した、というのも問題点であります。
幸いなことに、松大側の係員が松大船乗船待ちをしていた乗客4名を避難誘導し、けが人は出なかったものの、仮に避難誘導が遅れれば被害者が出た可能性があるのも事実です。

また、今回の事故がJR西日本から広島海上保安部への通報が遅れており(住民から報道機関へ連絡があり、その事実確認をした報道機関よりも遅れた)、その点も問題ではないかと思います。

今回の事故での関係者のコメント
いずれも中国新聞より。
・「JRの保有するフェリーは3隻とも操作方法がまったく異なり、船長は習熟するのが大変なのではないか?」(松大船運航部長)
・「桟橋も屋根もゆがんだ。これらの修理を行う間は、営業が出来ないかもしれない」(松大船運航部長)
・「これだけ事故が続くと宮島のイメージが悪くなるのではないか?」(宮島の住民)

個人的には一番上の松大船運航部長のコメント。
JR宮島航路の3隻は導入時期が異なっており(みせん丸が一番新しく、現在のみやじま丸が一番古い)、それによってその時代の流れによって運航方法に大きな違いが出ているのではないか、というのが私の推測ではあります。したがって、特定の船の運航が出来たからといって、他の船の運航が出来るとは限らない、ということでもあるようです。

JR西日本は「信頼回復」をキーワードに。
2005年度は宮島航路だけでも2回の事故を起こしているわけで、相当の問題があるように思えます。それが、「運航する側」の運航技術不足に原因があるのか、それとも「運航管理者側」の態度に原因があるのか、それは見えてきません(もしかすると両方なのかもしれません)。
ただ、いずれにしても「事故を起こす」に至るには様々な問題があるわけで、万が一の「操縦不能」という事態が起こらないように、それに向けた対策も必要になると思います。

JR西日本広島支社では、今回の事故を受けて「新・みやじま丸」の運行開始を3/15から遅らせる方針との事。万全の体制を持って、運航に務めてほしいと思います。